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回復の時期と段階に応じた子どもの心のケア(必要性に応じた段階モデル)簡易版(三羽・森永)

東日本大震災支援活動において協力関係にある、日本心理臨床学会・支援活動委員会の冨永教授(兵庫教育大学)が作成した「教師・心理職等(対人援助職)のみなさんへ」をもとに、冨永教授と共同作成したマニュアルです。
被災地で子ともたちのケアに関わる、心理士・教員などの皆様に向けた資料です。
より多くの方に知っていただくため、冨永教授による内容の確認および許可のもとこちらでも掲載しています。
英語バージョンはこちら


「回復の時期と段階に応じた子どもの心のケア-必要性に応じた段階モデル」簡易版
(著:冨永良喜,編:森永今日子・三羽理一郎)

回復のために必要な体験の段階着目したモデル
安全の確保、関係性の確保、自己表現、エクスポージャーの順番を経ることの重要さ
体験の段階は、被害程度によって異なるため、当該地域と対象の段階を考慮すること。

<Step1 安全の提供>
(災害直後)
全ての基本。全段階に渡って継続。

【身体的・心理的反応】
疲労、不眠、車中泊によるエコノミークラス症候群など
驚愕反応、不安、絶望、急性ストレス反応など

【介入】
環境整備と、ソーシャルサポートや対処資源の提供と維持。
環境整備
食料、水、防寒、自衛隊風呂、足湯隊、仮設トイレ、プライバシー確保、余震への対処など。
ソーシャルサポート(絆や関わり)の提供と維持
誰かとつながっていることの再確認
家族の安否確認に寄り添い、サポート。
対処資源(coping resource)の提供と維持
エコノミークラス症候群予防のための健康体操。
ライフラインは回復するという希望。

<Step2 身体的・心理的反応への気付き体験の提供>
(劣悪環境による身体的危機が過ぎ去った後、Step1と並行して)
安全体験の確保後、身体的・心理的反応が出現。
自身の反応に気付き、向き合うことを促進。
※debriefingは避けること。

【身体的反応・心理的反応】
■不眠、だるさ、無気力、絶望感など。
トラウマ記憶の活性化によるフラッシュバック(再体験と侵入)
ex. 悪夢、「津波ごっこ」や「地震ごっこ」(子どもは言葉での再演ができないため、遊びによる再体験と侵入を行う)
五感をともなう苦しい体験で、記憶や感覚が過去に連れ戻される。
退行、甘え
ex.信頼できる人に密着し離れられなくなる。これまでにできていたことができなくなる 

【介入】
再体験反応への対処を誤るとトラウマ反応は長期化するので、慎重な対応が必要。
リラクゼーション体験 (マッサージ、動作法(注) 、漸進性弛緩法、呼吸法)
「ごっこ遊び」への対応
「不謹慎だからやめなさい」などと叱らない。
一緒に一緒に遊びの中に入り、子どもの怒りや恐怖や不安などの感情に共感する。
身体的危険を伴う遊びは止め、そこでの気持ちを聴く。
退行や甘えへの対応 
ショックのあとの甘えや退行は、回復への第一歩。安全性を感じられるようになるまで寄り添う。
フラッシュバックのコントロール
(1) 気持ちを切り替える
背筋を伸ばす動作をして「今は仕事に集中」と気持ちを切り替える。
(2) つらい記憶に向き合う
感情に身を任せて待つことを繰り返すことにより、少しずつフラッシュバックの頻度は減り、強度が小さくなる。
※考えないようにする回避の努力は、かえって反応を持続させる。
避難所での”子ども遊び隊”のボランティア。
子どもが楽しみ、すっきりするまで徹底してつき合う。
怒り、攻撃性の扱い
怒りや悲しみのため、慣れてくると、ボランティアに攻撃行為を行うことがある。
攻撃行為をスポーツなどに変えていく工夫が必要。
ボランティア活動にあたっては、毎日ミーティングを行い、心理臨床家の助言を受ける。

<Step3 心理教育の提供;自己モニタリングと適切な対処の仕方の学習
(学校の再開。Step1終了後、Step2と並行して)

※日本では心理職の人数が少ないが、学校制度が整備され教師の資質が高く子どもたちとの関わりが密であるため、学校との連携が有効。
子どもが自分自身にどのようなトラウマ反応が起きているかの自己モニタリングと、適切な対処の仕方を学習する心理教育が必要。

【身体的・心理的反応】
不眠、回避反応(海や水への恐怖、災害ニュースによる不安喚起)自責感、不登校・引きこもり、希死念慮など。

【介入】
トラウマ反応とそれを乗り越える方法についての知識の供給。
 トラウマ反応は、誤学習によるもの。
 自身のトラウマ反応のモニタリングと表現、反応過程の理解、嫌悪刺激への段階的な接近の挑戦を促進することにより、ストレス関連障害や生活への支障を防止。

トラウマ反応過程の理解と嫌悪刺激へのエクスポージャーについての学習
地震・津波・災害などのトラウマ反応もたらす刺激への過度な回避行動
 ストレス関連障害の維持の一因
 長期に渡ると生活を制限するものになる。
 段階的に刺激に接近することを促す必要。
トラウマ反応は、安全な刺激と危険な刺激を識別できなくなり、本来は安全な刺激を嫌悪刺激であると誤学習して積極的に避けるオペラント行動が行われている状態。
 →自分に起きている誤学習の過程を理解し、段階的に刺激へ接近し、自分の恐怖反応が不適切であり、刺激が安全であることを学習する必要。
エクスポージャーを行う際には安全が保障されていることが必須。

アンケートを通じて、自己モニタリングを促進し、同時に子どもたちの現状を把握
トラウマ反応は顕在化しにくいため、アンケート調査が有効。
自身にどのようなトラウマ反応が起きているかの自己モニタリングと、それを通じて適切な対処方略へつなげる
テスト効果によるトラウマ反応を起こさないよう、安心できる環境で行うこと。

(1) 「健康アンケート」
学校再開1-2週間後(仮設住宅で1-2週間生活後)に、クラス単位で絆を深めるグループワークの授業で実施。
5項目(入眠困難・中途覚醒・食欲・体調・イライラ)
担任個別面談。
必要な子どもにスクールカウンセラーによるカウンセリング。

(2)「心とからだのストレスアンケート」-PTSRED-TRAUMA25
 ストレス反応(地震・津波・いじめや親からの暴力などによるものも含む)のスクリーニング。集団の心理的傾向の把握にも有用。
 アンケート実施前後リラクセーション体験も有効。
 ストレス反応の高い子ども
カウンセラーによる詳細な査定(中学生以上にはIESR、小学生にはUCLA-PTSD indexなどを使用)
教師やカウンセラーによる面談(傾聴・共感・死を選ばない約束)。

【注意すべきこと】
PTSRED-TRAUMA25は、心理教育・ストレスマネジメント体験・個別相談体制と共に実施。、単独で行うことは厳禁。
継続的なケアやサポート体制が必要であり、それができない個人や団体は心のケア活動をすべきではない。
被災者が研究に搾取されないように、国際的なルールを構築する必要。
※四川大地震のとき、海外からきた心理のボランティアが子どもに絵を描かせて、その絵を持ち帰ろうとした。

●<Step4 生活体験の表現>
(step1, step2が完了した後)

【介入】
学校を中心とした適切な対処行動のサポートの開始
上のステップの心理教育の実践の第一段階。
運動、ゲーム、リラクセーション体験(背伸び、呼吸法)。
活動の後は、落ち着いた雰囲気を作り、語りや表現を促す。
語りの場や作文による表現体験
テーマ:生活体験の共有(避難所での頑張り、毎日の生活の工夫、友だちとの楽しいひとときなど、被災体験に直接触れないもの)
安心して「語れる」空間の保障と受容。
心のケアについて学ぶ授業
ストレスマネジメント、ソーシャルスキル、ピアサポート。

<Step5 トラウマ体験の表現>
(step1-4が完了した後)

【身体的・心理的反応】
PTSDなどのストレス関連障害
トラウマ体験に関するさまざまな感情。

【介入】
心理教育の実践の第二段階
■さまざまな折にトラウマ体験の表現をうながし、それと向き合うことを助ける。
子どものペースに合わせ表現したくない子どもには無理強いさせない。
恐怖や悲しみに向き合う時間と、楽しい日常生活を切り分ける。

<Step6 回避行動へのエクスポージャー>
(step1-4完了後、step5をいくらか経験した後)

【身体的・心理的反応】
不安喚起刺激への回避(ビーチや水泳を避けるなど)

【介入】
■エクスポージャーが必要な理由の理解(心理教育)。
■苦痛が少ないものから、段階的に挑戦。
苦痛度50-60/100のものから挑戦。
刺激が安全であることを体験。
※トラウマ反応が高い場合は、個別のカウンセリングに。

<Step7 喪の作業> 

【身体的・心理的反応】
メモリアル反応(Anniversary reactions) 

【介入】
追悼の会に向けて向き合う 体験の援助
向き合うときと楽しむときの区別
心のなかに「いなくなった人」を抱き、対話する。

注:動作法とは、日本で開発された臨床心理学的リラクゼーションアプローチで、他動的な力によるマッサージと異なり、高いリラクゼーション効果を持ち、自己効力感やセルフコントロール感を高める。動作法では、セラピストは、クライエントの肩に手を置くことなどでクライエントに身体や心への気付きを促し、クライエントが自分自身で力を抜くように働きかける。

(三羽理一郎 加州公認クリニカルサイコロジストPSY21622)
(森永今日子 博士・学術)

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